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■登記・測量・不動産調査のワンストップサービス■
  

各業務別にわかりやすく説明いたします。


測量と境界について


 
 
 はじめに
測量といわれて皆さんは何を想像しますか,『よく道路に三脚立ててカメラみたいなの覗いてる』イメージだと思います。
ところで皆さん引越した事ありますよね,あるいは新しい家具を買う時に部屋にうまく収まるかどうか測り
ませんか?測量とは人間が必要に応じてその都度適正な精度と方法により行われる,不動産に限っては
境界の位置や土地の形状面積を数値化に置き換える技術といえます。




 土地(境界,面積)確定測量(一筆地測量)


土地登記簿に記載されている(地積)面積はどのように定められているかご存知ですか?
また、その地積は実際の面積と同じだと思いますか?
         実は合っている土地とそうでない土地があるのです。
それは登記簿の地積の決め方に原因があるのです。
これは明治時代のもと海援隊の出身の神奈川県知事、陸奥宗光(むつむねみつ)が提案した大改革、明治5年の地租改正(ちそかいせい)に話は遡ります。明治政府は地券を発行し土地の売買を認め地価の3パーセントを税として現金で納めさせることにした。
そのためにやはり地券に土地を特定させるため全国に検地測量を実施し面積を特定したのが地積のはじまりです。

 その台帳が地券台帳となり,土地台帳となり現在の不動産登記簿になっております。
また地券台帳の時代に作製した図面が,附属地図となり現在は公図に準ずる図面となっています。
現在の土地分筆登記のように地積測量図を添付あるいは作成するようになったのは,実は戦後です。
つまり明治時代から一度も分筆されていない土地は,実は原則的に明治時代の地積のまま登記されており。
 当時の測量方法というのは竹ざお・竹尺等を使った『十字法』と『三斜法』の併用との事です。

 十字法とは歴史の教科書に載っている豊臣秀吉の太閤検地と同じ下図のような,縦×横の求積方法です。



 ある文献に当時の誤差基準が記してありそれによると1反歩で±10歩(坪)つまり・・・
1000平方メートルで33.05平方メートル以内の誤差であれば正しい実測値とされていたわけで,
現在の誤差基準で比較すると市街地(甲2)地域の同じ面積で3.36平方メートルの誤差限度です
単純計算で現在の10倍の誤差という基準ですから,いかに『大雑把』だったかわかりますが,これが
当時の測量技術の限界だったのです。

 しかも目的は税の徴収です。
さらに面積を計算して申告しているのは納税義務を負う地元の農民達ですから自己申告制であれば実際の面積より少なく申告する事が多くなっても仕方がないことです。

 先日東京土地家屋調査士会の地籍調査委員の研修会で,この事について研究されている会員から
実は測量の規格すら違っていたという研究報告がありました。
つまり尺換法でも測量に使用した竹尺の規格すら地域によって違っていたという,しかも測量したのは一般庶民で作成の仕方は国の方で道路・水路の幅をキッチリ確保した下図に各々の民間地を一筆ずつ,パズルのように合わせて作成した後に,国は出来上がったものを点検するだけであったとの事でした。

よって公有の道路や水路の幅はキッチリ合っているが,民間の土地は大体の形と接点だけはあっているような,『地図に準ずる図面(公図)』ができあがり,とりあえずは誤差については多少問題が残しながらも,、短期間で全国の土地に番号と地主を確定し,土地を取引可能にして税を徴収する体制をつくるといった当初の目的を達成した経緯があるわけです。




ですから現代の最新技術で測量した面積とは地積はあっているほうがめずらしいのです。

結局,世の中には『副産物』というものがありますよね。
少々荒っぽい言い方ですが,この当時の地券台帳の地積については,多少多かろうが少なかろうが現在登記情報に課せられている,『権利の明確化』はさほど重要視していなかったのかもしれません。

 また,地券も最初は売買する者のみに発行していたのですから結局,税金を徴収するために
最低限土地を間違いなく特定できればいいというのが,元々の地積の考え方とも推察されます。

 しかし現在の登記情報へ変貌を遂げる間に,国があたかも保証した面積のような誤解を生む副産物となってしまったわけです。

さて話を戻してそれでは戦後,新不動産登記法施行後に分筆登記や地積更正登記を行い地積測量図が法務局で閲覧出来るものもあります。
これは正確なのでしょうか?
残念ですが・・・・
         これも精度が高い地積測量図とそうで無い物があるのです。
現在全国の各法務局に備付られている地積測量図の精度は作成者によって差がある場合もあります。

 私は昭和39年生まれの土地家屋調査士ですので,過去の一元化未了時代(いちげんかみりょうじだい)という時代,つまり分筆登記といわず,分割申告書として法務局が登記業務の全て一元化に取り扱っていない時代の詳細については知ること事はできませんが,分筆申告書に添付していた「地積測量図」をみても
やはり,昭和34年くらいのが一番古いかもしれません。

 実際に当時の測量値と最新の測量値を比較すると合わない事もあります。

ただしくれぐれも注意したいのは、

       その地積測量図が間違っているのではありません。
                            
      その差は測量技術・器機の限界で当時の適正な『精度』なのです。

 つまり当時の適正な測量方法で測った結果なのです。(もちろん錯誤等の例外もあります。)
それに測量する際の境界立会い確認というのも,昭和40年代末だと聞いています。

 また,当時の測量は皆さんが想像するような器械で測る方法はごく一部の事務所のみ使われていましたが,大半は平板測量やテープでの測距と平板の併用により測量が行われていたのです。
現在のトータルステーションという光波測距儀の測量器械は当時からすれば『化け物』なのです。
ですから不動産の売買,建築計画,そして分筆・地積更正の登記をする際には
境界の立会い確認したのち,境界標がない場合は新設して,現在の測量技術で面積を確定する。
境界確定測量が必要なのです。




 左は私が22歳『ドラフト1位のルーキー』当時の平板測量風景です。
さすがに境界点測量は器械観測でしたが,現況地形測量はまだ平板測量中心でした。
個人的には平板測量大好きでした。

 右は私が38歳の時,公共嘱託登記土地家屋調査士協会会田無支所の仲間とやったGPS衛星測量です。
(現在はGNSSと言います。)
GPS受信機を持つ私・・自分自身が測量に従事したこんな短期間でもこれだけ変わるのですから誤差があっても仕方が無い事かもしれません。

 さて今までの説明ですと,
「その時代時代で測量の精度に差異があるなら,何年経っても正しい地積が確定しないじゃないか」
という疑問がありますが,私見を述べさせてもらえば,測量技術はすでに最終型に近いと思います。
最近カーナビでお馴染みのGPS測量(現在のGNSS測量)もさして影響をあたえないと思っています。
ドローン測量にしてもです。


 誤解していただきたくないのは影響を与えないというのは地主さんの立場での話です。
つまり『平板やテープ測量』と『トータルステーション測量』を比較した場合は双方とも
登記用の測量全工程を単体で完遂できる道具だったのに,精度差がありましたが,
しかしながら『トータルステーション測量』とを比較すると『GPS測量(現在のGNSS測量)は』
GPS(GNSS)は単体で登記用の測量全工程を完遂するのは不可能な器械です。

 先程私が測量技術最終型と記したのは,境界の位置を器械を使って杭又は境界標を新設するといった詳細な作業は,今後もトータルステーションによる作業であり,つまりトータルステーションが一般的に普及しだした昭和62年前後の測量値とはそれほどビックリするような誤差は少ないと思います。

以上長々と説明してまいりましたが,このような測量を別名『一筆地測量』とも呼びます。



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